SSブログ
コンサートレポート ブログトップ
- | 次の3件

五嶋龍Presents アンサンブルDITTO 音を楽しむ コンサートレポート [コンサートレポート]

shuugou.jpeg
rogo.jpeg


こんにちは 上野まり子です。
『五嶋龍Presents 「アンサンブルDITTO」日本デビューコンサート』が6月28日(月)東京、29日(火)大阪で開催された。
アンサンブルDITTOは ニューヨークを基点に世界中で活躍しているソリストたちが集まり、‘07に韓国で活動をスタートさせた。スタイリッシュな風貌から瞬く間に韓国クラシック界のアイドル的な存在となった。今年第4シリーズ、そして日本デビューとして来日したのは音楽監督リチャード・ヨンジェ・オニール(ヴィオラ)、ステファン・ジャッキーヴ(ヴァイオリン)、マイケル・ニコラス(チェロ)、ジヨン(ピアノ)の4人。名前の由来であるDivertimento(楽しい曲)と本来持つ意味であるDITTO(共感)に賛同した ヴァイオリニスト・五嶋龍の働きかけにより初来日を果たすことになった。
さて音楽監督を務めるステファン・ヨンジェ・オニールは韓国クラシック界のスター・アーティストだ。韓国系アメリカ人である彼はジュリアード音楽院に学び、現在はUCLAのハーブ・アルバート音楽学院にて最年少講師として教鞭をとっている。またホ・ジノ監督の映画「幸福(ハピネス)」や、「白い巨塔(SBS/2007) 」のサントラに参加、ドラマ「ベートーベン・ウィルス」第8話にゲスト出演、人気音楽番組「ユン・ドヒョンのラブレター」にも出演とクラシック以外の活動も精力的に行っている。
ヴァイオリンのステファン・ジャッキーヴはボストン生まれで、韓国で誰もが知る詩人で随筆家のピ・チョンドゥク(皮千得)を祖父に持つ。ハーバード大学及びニューイングランド音楽院を卒業、これまでボストン響、シカゴ響、ニューヨーク・フィル、クリーブランド響等世界の名だたる交響楽団と共演しており‘02にはエヴェリー・フィッシャー・キャリア・グラントを受賞している。
チェロのマイケル・ニコラスはジュリアード音楽院卒業で、モントリオール交響楽団の副主席チェリスト。カナダ音楽コンクール受賞をし、カナダ芸術審議会より奨学金を授与されてオーケストラだけに留まらず室内楽にも精力的に取り組んでいる。特にダヴィッドフスキー、ヴィリネン、バビットら多くの現代作曲家の楽曲の初演を行なっている。
現在ジュリアード音楽院在籍中のピアノのジヨンは‘01年、僅か10歳でニューヨーク・フィルのヤング・アーティスト・コンクールに最年少で優勝をし、ニューヨーク・フィルとの共演でデビューを果たした。アスペン音楽祭のピアノコンクールをはじめ数々のコンクールで優勝し、若き天才ピアニストとして全米のメディアに多く取り上げられ、今後最も期待されるピアニストである。

今回アンサンブルDITTOの紹介役を果たしたのはヴァイオリニスト五嶋龍。ハーバード大学物理学専攻在学中の彼は7歳でコンサートデビューして以来ソリストとして世界各国で著名な指揮者や有名オーケストラとの共演を重ねている。
2009年6月、Seoul Arts Center Concert Hallでの彼らのコンサートに参加することになった五嶋龍、アンサンブルDITTOはクラシックに自然な形でモダンを取り入れた新しいスタイル、これまでのクラシックからの進化のアイディアが明快にビジョン化されたクループだとその魅力を語っている。彼らを世界に紹介して行きたいという意向を持つ五嶋氏は是非日本にも紹介したいと今回のDITTOデビューコンサート開催となった。

DITTO GOTO.jpeg
東京でのコンサートは東京国際フォーラム ホールA、韓流スターのイベントも行なわれる場所だ。ただし今回はペンライトを持っている人は一人もいない。会場最上階までびっしりと詰まった客席、五嶋龍の人気とK-クラシックという韓国人アーティストの演奏への期待と興味を示している。

開演のベルが鳴ると登場したのはヨンジェ・オニールと五嶋龍、クラシックのコンサートの際には決まりのようにタキシードかダークスーツが多いが、彼らの衣装は黒(ヨンジェ)と白(五嶋)のTシャツ、この事からして今までのクラシックのコンサートのスタイルを変えようとする彼らの意気込みが伝わる。演奏は「♪ヘンデル/ハルヴォルセン:ヴァイオリンとヴィオラのためのパッサカリア」、記者会見の時に披露してくれた楽曲だ。
ヨンジェ・オニールが緊張している様子を見せる一方、五嶋龍は余裕のある笑顔で息遣いまではっきりと聞こえてくる。勿論その演奏は素晴らしく、ヴァイオリンとヴィオラの掛け合いも見事なものだ。演奏が終わるとやっと笑顔を見せたヨンジェ・オニール、まずは日本での最初の演奏を終えた事でほっとしたようだ。

次はDITTOのメンバーによる演奏だ。準備の為の時間を利用して五嶋龍が挨拶をした。
“こんばんは 五嶋龍です。”に大きな拍手が起き、その人気の高さを実感した。
アンサンブルDITTOとの出会いについて’09春にニューヨークで紹介を受けた。音楽の新しいビジョンに賛同し、彼らのソウル公演に招聘された。音楽を楽しんでいる彼らを是非日本にも紹介したいと思ったと今回のコンサートの趣旨を紹介した。

 

DITTO1.jpeg
アンサンブルDITTO

さてステージの準備が整ったところで“Dittoの演奏を最後までお楽しみ下さい。”とバトンはアンサンブルDITTOのメンバーに渡された。やはり堅苦しいスーツ姿とは違い、シャツにズボンという軽がるとした衣装で登場した。静かに一つ一つの音を確かめる様に始まった「♪シューマン:ピアノ四重奏曲 変ホ長調Op.47」、お互いの息遣いを確かめながらの演奏だ。チェロが旋律を奏で始めるとヴァイオリン、ヴィオラ、ピアノが順に追いかける。演奏の評価はプロにお任せして私は彼らの特徴を少しご紹介しようと思う。
まずはヴァイオリンのステファン・ジャッキーブ、繊細なヴァイオリンの音の様にやや神経質そうにまゆを寄せながらの繊細な演奏で、時としてつま先立つようにするのが特徴のようだ。チェロのマイケル・ニコラスは大柄のイケメン。第3、第4?のダニエル・ヘニーになれそうだ。チェロが小さく見えるが、その音色は繊細だ。最年少のピアノのジヨンは左肩をやや上げて演奏するのが特徴、末子らしく全ての音に呼応するべく細心の注意を払う。だがその音は時としてダイナミックだ。そして最後にリーダーのリチャード・ヨンジェ・オニール、一見科学者と様な難しい顔をするが、その笑顔はとても人懐っこい。ひざを折り深く前傾になって演奏するのが特徴だ。おおらかな音はその人柄とともに新しい企画、新しい事に挑戦するエネルギーを彷彿させる。
私の取材は残念ながら第1部までとなった。

DITTO GOTO3.jpeg
アンサンブルDITTOと五嶋龍

 この後コンサートは第2部「♪ブラームス:ピアノ四重奏曲 第1番Op.23」、「モリコーネ:ニュー・シネマ・パラダイスより「♪愛のテーマ」」となった。後者は彼らの目指すところを具現化したもので是非聴いてみたかったプログラムで残念だった。
クラシックの王道を行く選曲ながら、スタイリッシュでクールな演奏は従来のクラシック音楽ファンを超えて多くの若者たちの心を捉えたという伝説を持つ彼らの演奏、この夜観客は彼らの新しい取り組みにどの様な評価を下したのか。いや彼らの望む音楽を楽しんだことだろう。

<ステージでどのような変化を遂げていくか僕たち自身も楽しみにしている。>という五嶋龍とアンサンブルDITTOのコンサート、7月4日(日)にはソウルで開催された。

DITTO Official Website

http://www.crediastar.com/yourditto

五嶋龍 オフィシャルウェブサイト

http://www.ryugoto.com/index.html

【今日の一言】
<音を楽しむ>これが読んで字のごとく音楽の本来の意味だ。以前紹介したが五嶋龍のヴァイオリンへの情熱はまさに<音を楽しむ>ためにあるのではないかと思う。その演奏スタイルも他とはやや異なるように見えた。
そこにはドキュメンタリー番組で観た少年時代の彼と少しも変わらない姿があった。幼い頃より有名プレイヤーであったが、その姿には何の気負いもなく、本当に音を楽しんでいる。音楽仲間と<じゃ、やろう!>とすぐに始める演奏、3歳から10歳まで習っていたヴァイオリン、何故あのように<音を楽しむ>事が出来なかったのかと自戒の念に苛まれる。まあこれからでも遅くはない、何事もと思う昨今だ。

【当サイト内 五嶋龍 Presents アンサンブル DITTO関連記事】

http://uenomariko.blog.so-net.ne.jp/2010-02-26

<公演概要>

poster.jpeg
『五嶋龍プレゼンツ アンサンブルDITTO デビュー in ジャパン』

<東京公演>
日時:2010年6月28日(月) 開場18:00 / 開演19:00
場所:東京国際フォーラム ホールA  
<大阪公演>
日時:2010年6月29日(火) 開場18:00 / 開演19:00
場所:ザ・シンフォニーホール     
主催
東京:テレビ朝日、イープラス、バックステージプロジェクト、オフィスGOTO、
博報堂メディアパートナーズ
大阪:朝日放送
後援
東京:駐日韓国大使館、韓国文化院
大阪:駐大阪大韓民国総領事館、韓国文化院

出演 アンサンブルDITTO
リチャード・ヨンジェ・オニール(ヴィオラ/音楽監督)
ステファン・ジャッキーヴ(ヴァイオリン)
マイケル・ニコラス(チェロ)
ジヨン(ピアノ)
五嶋龍(ヴァイオリン)

演奏曲
第1部
ヘンデルーハルヴォルセン:ヴァイオリンとヴィオラのためのパッサカリア(リチャード・ヨンジェ・オニール&五嶋龍)
シューマン:ピアノ四重奏曲変ホ長調Op.47

第2部
ブラームス:ピアノ四重奏曲 第1番ト短調 作品25 (アンサンブルDITTO)
モリコーネ:ニュー・シネマパラダイスより「愛のテーマ」(アンサンブルDITTO&五嶋龍) 

公演HPhttp://eplus.jp/ditto

 

本サイトで掲載されている記事、写真については無断使用・無断複製を禁止いたします。
Copyright 2010 OFFICE MARIKO. All Rights Reserved.

 


nice!(12)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ
- | 次の3件 コンサートレポート ブログトップ
上野まり子のアジアン・スターインタビュー

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。