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映画『明日へ』プ・ジヨン監督インタビュー(オフィシャル) [映画紹介]


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こんにちは 上野まり子です。
韓国映画『明日へ』(英題CRART)が11月6日(金)TOHOシネマズ新宿他にてロードショー公開される。

大型スーパーの従業員が職場を長期占領した2007年の実際の事件を元に、細部を再構成し、初めて映画化した話題作『明日へ』。公開を前に9月中旬プ・ジヨン監督がPRのため来日、マスコミ各社のインタビューに応じた。

まずはオフィシャルインタビューより一部抜粋してご紹介する。
プ・ジヨン監督インタビュー

Q:脚本を完成させるまで1年近くかかった本作、脚色においてどのような点が難しかったのか?

本作は実話をベースにした映画だが、実話をそのまま映画化するのは厳しい。映画化に伴い実際の事件にインスパイヤされ、フィクションの部分を追加した。2014、2015年もなお、非正規雇用の問題は続いている。そのため、例えば実際の労働現場で起きた事件や関連人物たちのインタビュー、ドキュメンタリーなどの資料を十分に反映して映画を作った。しかし映画はひとつのエンターテイメントであり、労働現場の声を1年以上かけて集約すると同時に、家族を描いた映画であり、女性たちが成長する物語として観客に楽しんでいただける作品になるよう、2つの側面を意識しながら映画作りを行った。

Q:映画化するにあたり当事者に気を使った点はあるか。

事件当事者に初めてお会いした際に、実際の事件にインスパイアされている映画ではあっても、実在する誰かを描いているわけではない事を話した。特定の誰かを描くのではなく、あくまで架空のキャラクターが登場する映画なので、その部分についてあまり気にしないで欲しいという旨を説明した。また、誰かを美化したり、逆に誰かを悪者のように描いたりということもしなかった。

Q:ソニの役のヨム・ジョンアさんは、これまでとはかなりかけ離れたイメージを受けたが、キャスティングした理由は?

ミス・コリア出身のヨム・ジョンアさんは美しい女優で、実際にも結婚して子供がいる。人生に於いて様々な経験をしている点が、ソニというキャラクターを演じるのに適役ではないかと思った。実際会ってみて、その思いは確信へと変わった。
世間一般的には都会的で洗練された女優であると思われているが、これまで非常に現実的な役柄が多く、キャラクター自身のリアリティを引き出すのがとても上手な女優だ。

Q:ヨム・ジョンアさんは本作で「百想芸術大賞で女性最優秀演技賞」を受賞したが、特に役作りについて話し合ったか。

実際の彼女はしっかり者でハキハキしているが、主人公のソニは内省的で消極的な人物だ。そういったキャラクターの内面を動きやセリフで表現してもらえるように気をつけた。

Q:ソニの夫役についての説明がないが、当初からそのような設定なのか?

脚色過程ではソニにもヘミにも夫がいたが、脚色を重ねるうちにそのキャラクター達は切り捨てることにした。
実際にいろいろ話を聞いて調べてみると、離婚や、夫の出稼ぎなどの事情で、一人で育児をしながら家庭を守っている女性たちが多かったこともあり、そのような現実的な部分を考慮した。ストをした際にも彼女たちは家庭のサポートをなかなか得られなかったという現状を踏まえると、どうしても夫たちを否定的に描かざるを得なかった。一律的にそういった表現をするより、観客の想像力に委ねることにした。

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Q:テヨン役ド・ギョンスをキャスティングした理由と、どのような準備をしたか?

ド・ギョンスは、会う前に描いていたイメージとは正反対の俳優で、良い印象を持った。実際の彼はアイドルっぽくなく、真面目で年齢の割に大人びていた。この役を任せてもいいと思えるぐらい信頼できた。また彼自身も成長過程で苦労しており、アルバイトの経験は、この役を演じる上でプラスになると思った。
キャラクターはよく理解していたので、後は技術面だった。本読みやセリフ、動きなど、そこに重点を置いて何度も繰り返し練習したり、テヨンについて一緒に想像してみたりとディテールを話し合って役作りをした。

Q:監督が感じたド・ギョンスの魅力は?

彼は何の偏見もなく、役についてもすんなり理解していた。
まるでスポンジのようになんでも吸収するし、いつも準備万端で一生懸命やろうという姿勢が素晴らしく、デビューが本作のテヨン役でなくとも上手くこなせたのではないかと思う。


Q:製作するにあたりクラウドファンディングで5000人の支えがあり出来上がったと聞くが、気負いなど監督としていつもと違った思いがあったか?

皆さんが関心を持ってくれたことは大きな支えとなつた。それが負担だとは思っていない。人々が本作の存在を知り、このような題材にどのように反応するだろうかととても興味があった。クラウドファンディングで人々の反響があったことで安心したし、何よりも力になつた。


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Q:5000人もの人が協力したいと思った一番大きな理由は?

協力して下さった方の中には、ド・ギョンスのファンが多かったと思う。彼のファンは10代から40代までと年齢層が広く、ファンだからというだけではなく、本作が非正規雇用者たちを描いた映画であるということ、そこにド・ギョンスが出演するということにより深い意味があると感じ、応援してくれたようだ。

Q:非正規雇用者たちの問題と同時に家族の問題も描いているが、女性が家庭を持ちながら働くことの難しさをどのように感じているか。

私自身もワーキングマザーとして同じ経験をしていて、あまりにも難しいと切実に感じている。家庭と仕事を両立させること自体が大変な上、会社と闘わなくてはいけないのは難しいことだ。しかし、映画の登場人物たちは最後まで闘った。皆応援したくなるし、何より意味のある闘いだ。ただ現実的に考えると、このような問題は社会的に、体系的に解決されなければいけない問題だ。本作に登場する彼女たちのように、働きながらも全てを担うのは本当に大変で、女性労働者たちは多大な負担を強いられている。それを社会的に軽減してあげるようにしなければいけないと思う。

Q:監督は人間の感情を繊細に描くヒューマンドラマに長けていると思うが、他にチャレンジしてみたいジャンルはあるか?

女性たちがストーリーの中で重要な役割を果たすアクション映画にチャレンジしてみたい。私自身、強い女性というものに憧れているのかもしれない。もちろん女性ならではの優しさには良い面もあるが、強靭な力で困難を突破していく女性を撮りたい。

最後にプ・ジヨン監督は日本の皆様へ次のようにメッセージした。

「カート」が「明日へ」というタイトルで日本で公開されます。いわゆるおばさんと言われるような人々が会社で不当な待遇を受けながらも、それに屈せず、同僚たちと力を合わせてその状況を乗り越えようとするヒューマンドラマです。家族の物語でもあり、女性の成長物語でもあります。この物語が皆さんの心に温かい感動として届けば幸いです。




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© 2014 MYUNG FILMS All Right Reserved.
11月6日(金)TOHOシネマズ新宿他全国ロードショー公開
公式サイト



【作品概要】
『明日へ』(原題:카트)(英題CRART)
2014年/韓国/104分/カラー/5.1chデジタル
監督:プ・ジヨン
脚本:キム・ギョンチャン
製作:シム・ジェミョン キャスト:ヨム・ジョンア、キム・ヨンエ、キム・ガンウ、ムン・ジョンヒ、チョン・ウヒ、ド・ギョ ンス(EXO)
日本語字幕:小寺由香
配給:ハーク
配給協力:アークエンタテイメント
© 2014 MYUNG FILMS All Right Reserved.
【ストーリー】
入社5年でようやく大手スーパーで正社員への昇格が決まったレジ係のソニは、度 重なる残業や上司のイヤミにもひたすら我慢し、家族のために懸命に働いていた。しかしそんな ある日、突如、非正規雇用者全員に一方的な「解雇通達」が下される―。 準社員の立場から一転、 職を失ってしまう運命となったソニと同僚たち...。途方に暮れる彼女たちだったが、家族のため、 そして自分の誇りを守るために、強大な企業権力を相手に解雇撤回を求めため一致団結し、職場 を取り戻そうと奮闘するのだが―。






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